前回、比較した中島みゆきとユーミンのタグ・クラウドを根拠にして、ふたりの間に流れた時間と距離を、パラレル方向へ巻き戻してみたいと思います。

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red_and_pink


赤とピンクのランドセルが、ふたつ並んで歩いている。そして、何やら揉めている。それを車から、眺めている。

赤いランドセル:「やっぱりおかしいわよ、そんなの!」
ピンクのランドセル:「わたし得意なのよ、十回十回クイズ。」
赤いランドセル:「だって、なんかこう、がんばろうって気にならないっていうか。」
ピンクのランドセル:「十回十回クイズは、がんばろうっていう気にさせるものじゃないのよ。そっちの方がよっぽど変だと思うけど。」
赤いランドセル:「わかったわ。もう一回出してくれる?」
ピンクのランドセル:「いいわよ。じゃ、サンタクロースって十回言ってみて。」
赤いランドセル:「サンタクロース。サンタクロース。サンタクロース。サンタクロース。サンタクロース。サンタクロース。サンタクロース。サンタクロース。サンタクロース。サンタクロース。」
ピンクのランドセル:「恋人は?」
赤いランドセル:「生まれ変わって巡りあう。」
ピンクのランドセル:「ブー。不正解!」
赤いランドセル:「えー!さっぱり、わからないわ。私。」
ピンクのランドセル:「正解は、背の高いサンタクロースでしたー。」
赤いランドセル:「なんで?背が高かろうが、低かろうが、そんなの荒井のさじ加減ひとつじゃない!納得できないわ、私。」
ピンクのランドセル:「うふふ。"生まれ変わって巡りあう"だって、さじ加減ひとつじゃない。」
赤いランドセル:「そんなことないわ!私は、流れを大切にしているだけなの。」
ピンクのランドセル:「私だって、流れを大切にしているわよ。文句があるなら、みゆき。今度はあなたが問題を出してちょうだい。」
赤いランドセル:「わかったわ。じゃ、ファイトって十回言ってみて。」
ピンクのランドセル:「ファイト。ファイト。ファイト。ファイト。ファイト。ファイト。ファイト。ファイト。ファイト。ファイト。」
赤いランドセル:「仕事をもらえないのは、なぜ?」
ピンクのランドセル:「本当はサンタクロースだから!」
赤いランドセル:「あなた、何をさっきからそんなに浮かれているの?」
ピンクのランドセル:「え?まさかの正解!?」
赤いランドセル:「そんなはずないでしょ。正解は、中卒だからよ。」
ピンクのランドセル:「みゆき。。私たち、まだ小学生よ。どうしたら、そんな中卒を嘆くような十回十回クイズを出題できるのよ。」
赤いランドセル:「闘う君の唄を、闘わないやつらが笑うからよ。」
ピンクのランドセル:「わからないわ。。」
赤いランドセル:「確かに、いまのは難しかったわね。これなら簡単。別れって十回言ってみてくれるかしら。」
ピンクのランドセル:「別れ。別れ。別れ。別れ。別れ。別れ。別れ。別れ。別れ。別れ。」
赤いランドセル:「浮かれ町あたりで上げるのは、何?」
ピンクのランドセル:「あー、これは自信ある!Route16でしょ!」
赤いランドセル:「違うわよ。」
ピンクのランドセル:「え?違うの?だって、きこえて来るじゃない!」
赤いランドセル:「サンタクロースのくだりで浮かれているから、浮かれまちあたりの問題出したのに。本当、あなたには幻滅したわ。」
ピンクのランドセル:「じゃ、正解はなんだっていうのよ!」
赤いランドセル:「もちろん、名前よ。それしかないじゃない。」
ピンクのランドセル:「わからない。本当に、わからない。。何に負けたのか、わからないことが、くやしいだけだわ。」
赤いランドセル:「きっと、荒井はあれなのね。道に倒れて誰かの名を呼んだことがないのね。かわいそうに。」
ピンクのランドセル:「あるわけないでしょ!かわいそうなのは、あなたでしょ!」

どうしてあの娘たちは、出会ってしまったのだろう。お互いのランドセルを壊れるほど抱きしめて、ボンネットに消えてった。

川田十夢

川田十夢

公私ともに長男。1月11日発売のBRUTUS NO.747で「断食読書」について答えました。ケイクスの被インタビュー連載と、カンバセーションズのインタビュー連載(本広克行監督)も、読んでください。
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