ダーリンハニー吉川コラム「1番ショートが夢だった」その60

昔ミュージシャンに憧れていたことは少し前に書いた→「若気の至りについて
コンサートツアーにも興味があり、こんな記事も書いた→「音楽ツアーを組む

しかし僕が一番憧れるのは、CDを作って、ディスクレビューをされること。これに尽きる。まずはアルバムを一生懸命制作する。そしてそれを音楽雑誌で評論家のみなさんにレビューしてもらうのだ。

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こんな風に

賞賛の声もあれば、時には厳しい意見もあるだろう。個人的にはライターの方が思ったことを素直に書いてほしい。仲間内みたいな記事ではなく、正直な感想を聞きたい。そこはお互いイーブンでいきたいと思う。

イーブンもなにもCDを作っていないので実際にはあり得ないが、今回は僕のアルバムが出たと仮定して、自分でレビューを書いてみたい。妄想こそ力。妄想こそ救い。

それでは参りましょう。




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ロック最高峰の眺めはこんな景色だった

日本のロックシーンにとっても、吉川正洋にとっても大切な1枚が完成した。デビューして15年、記念すべき10枚目のアルバムは痛快なロックナンバーのオンパレードである。本人は「フェスからの流れが良くて、そのまま制作に入れた」と語っていたが、まさに祝祭の中で育まれた彼のエモーションが炸裂したアニバーサリーでジャンボリーなアルバムと言っていいだろう。1曲目の『おばさんの歌』ではいきなり「オバサンオバサン、富士山・南無三」と叫ぶ。その叫びに脳髄が痺れる。そして『ボーラーレ・オーホー・カンターレ・オオオオ』はおそらくジプシー・キングスの「ボラーレ」をそのまま歌っただけだろう。しかしその「ひねらなさ」こそが彼の直球の速さを証明している。

3曲目の『バイオレンスな暴力』は一転してゆったりとしたジャズナンバー。「ペーパーな紙」「マネーな金」という意味のない歌詞が心臓を激しく揺さぶってくる。4曲目5曲目はお得意のプロレスナンバー。特に『恋するサンダーライガー』は先行シングルであり、このアルバムの中でも抜群の安定感を誇っている。白眉は6曲目の『さよならWikipedia』。「もう僕はやめたんだ 調べることをやめた 知ることをやめた ついでに会社もやめたんだ」「つらかったんだもん 朝起きるのが ひどかったんだもん 満員電車が」と綴られる私小説的な世界。美しい盆踊り風の旋律もシンクロし、僕らをもう一つの「ありそうな世界」に連れて行ってくれる。

7曲目はAKB48の『フライングゲット』のカバー。「堂々とやる人はいないからね。握手券をつけたいっていったらレコード会社に止められたよ(笑)」と語ってくれたが、これは彼なりの現代に対するアンサーだろう。8曲目『やっと好きって言えた時、君はもう老婆だったんだよね』はなぜか1875リミックス。彼によると「明治8年の世界観を出したかった。明治12年でも35年でもない。明治8年じゃなきゃ意味がなかったんだ」とのことだが、この曲はすでにフェスで多くのオーディエンスを巻き込こんでおり、明治8年の世界観の伝播力の凄さに、ただ立ち尽くすのみである。

9曲目『おじさんの歌』は「オジサンオジサン・六甲山・ご苦労さん」と再び叫び、最後を飾るのはアルバムタイトルにもなっている『ダチョウの群れと過ごした夜』。まさに現在進行形の吉川正洋が鳴っている激烈なロックナンバーだ。「ファンの人は“ダチョムレ”と呼んでくれているみたいだけど、できれば“ダムヨル”でお願いしたいな(笑)」と吉川は語っているように、この曲へのこだわりは相当強い。最終的には20分の無音の後、「解散!」との号令でアルバムは幕を閉じる。この夢のような現実のようなラストに涙が止まらない。いつまでも彼には特別な存在でいてほしい、そんなことを星に願うことこの上なしの、まさに記念碑的アルバム。拍手。





最後までお付き合いありがとうございました。

今の気持ちは楽しさ半分、むなしさ半分です。

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