私にはニックネームがなかった。小学校、中学校、高校、大学、そしてその後も、いつも本名で呼ばれてきた。
そのためニックネームで呼ばれるクラスメイトが羨ましかった。特に、小中学生の時は羨ましくて仕方なく、自分も呼ばれたくてたまらなかった。
私は誰かがニックネームを付けてくれることをずっと待った。できればカッコ良い方がいいが、我が儘を言っていられる状態でもない。悪口でなければ何でも良い。苗字をもじったものでも良いし、名前の一部を変えたものでも良い。私は通っていた学校の中で足が速かったので『韋駄天』や『スプリンター』でも良かった。しかし誰もニックネームを付けてくれなかった。
どうしても諦めきれない私は自分でニックネームを作り、それを定着させようとしたがそれは無駄な努力に終わった。

きっと私のようにニックネームが無かった人はいるはずだ。私のようにニックネームをずっと待っていたという人もいるだろう。八千草薫さんもそうだったかもしれない。近藤真彦さんなら「マッチ」、沢田研二さんなら「ジュリー」、高倉健さんなら「健さん」と呼ばれることがあっても、八千草薫さんがニックネームで呼ばれているのを聞いたことがないからだ。

もしかしたら八千草薫さんはニックネームが欲しいと思っているのかもしれない。
私はいつしか八千草薫さんのニックネームを考え始めた。

ブック1_改-(Unicode-エンコードの競合)


「八千草薫」から考えられるのはこんな感じだろう。
次に、足が速いから『韋駄天』のように特徴から付けられるパターンのニックネームを考えることにした。ところが私は八千草薫さんの趣味趣向や特技を知らない。
そこでウィキペディアに頼ることにした。すべてが真実ではなくても何かしらのヒントはあるかもしれない。
もしも「ジョークが好き」と書かれていたならば、『漫画』『落語』などのニックネームが考えられる。そんなことを考えながらページを開くと、ウィキペディアにはニックネームが記載されていた。

八千草薫さんのニックネームは『ヒトミ』(本名に由来)とのことだ。